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    • 人事担当者が知っておきたい教育研修計画の立て方|コラム|人材育成・人材教育


      経営戦略に欠かせない人材育成は、将来的に労働人口が減少していく日本において、重要かつ喫緊の課題です。

      人件費を考慮し、正社員を減らしてパートやアルバイトを増やしてきた企業では、正社員に期待する要素が増えているとも考えられますので、自社の人材を戦力化していくために、会社として人材育成・人材教育に取り組んでいくことが重要です。

      そのため、人事担当者としては会社で働く人材に対して行う教育に関する計画の立て方を、しっかりと理解しておく必要があります。

      目的を明確にすることが大事


      企業としては、なぜ教育研修を行うのかを明確にすることが大事です。
      そのための説明は主に人事担当者が行うか、あるいは社員を奮起させる必要がある場合には、企業のトップが行うことも検討しなくてはなりません。

      多くの社員にとって仕事以外のことは面倒に感じるケースが多く、積極的に参加する意欲を持った人は少ないと考えるのが妥当ですので、そのあたりのモチベーションを高く保たせるにはどうすべきかも、考えなくてはならない要素のひとつです。

      会社の理念・ビジョンを実現するために、社員に求める考え方や知識・スキルが何かを考え、その方向性を指し示していくことによって、社員がその研修に「価値」を感じられるようにしていくことは重要です。

      一方で、社員が現状抱える問題・課題を吸い上げた内容の研修を実施していくことで、社員の関心を集めることもでき、より主体的・積極的な取り組みを促すこともできます。

      それぞれのポジションごとに、何を目的に行うかを事前に説明し、それぞれが主体的に取り組めるような十分なお膳立てが必要となってきます。

      階層別研修


      新入社員であれば入社してすぐに教育が行われますので、この実施計画は比較的簡単に立てられるでしょう。

      企業を取り巻く最新の状況を踏まえ、新卒の人材にはこうなって欲しいという教育を入社した段階で教え込めるため、多少期間は長くなるかもしれませんが、社会人としての意識を持たせる教育と一緒に行えて、一石二鳥です。

      すでに配属先で仕事をしている社員は忙しいため、研修を実施することは少々難しく、全員参加となると仕事そっちのけということになってしまいます。

      そのため、関連する複数の内容で行うようにし、異なる該当部署から数人ずつピックアップして順次参加していくというスタイルで進めていくのが、企業活動を止めずに行える現実的な策と言えるでしょう。

      その他、積極的・意欲的な社員の意思、自発的な行動を尊重し、「手上げ式」での研修参加を促すのも良い手法のひとつです。

      また、どのような内容の研修にするかは、社員のスキルによって異なります。

      新入社員に対してなら会社の現状や今後の企業運営についての説明はもちろんのこと、社会人としての自覚ある行動を促すことも、重要な要素です。社会人として当然知っておくべき知識が新人に抜け落ちているのは致し方ないことですが、入社数年目の若手社員にも比較的多く当てはまります。

      そのため、若手を新人と組み合わせることで、若い年代向けの説明が一度に可能になるかもしれません。

      そこそこキャリアを積んできた中堅社員と、部下を持つ管理職となるとある程度人数が絞られてくることから、中堅社員と管理職のそれぞれで実施していきましょう。管理職層の中でも、新任管理職、既任管理職、初級、中級、上級と分けて実施していくことで、段階に合った内容の研修を実施することもできます。

      実施時期は中堅社員から始めるのが良いのか、それとも管理職からの方が良いのかは、どのような内容の研修を行うかということによっても変わるため、一概には言えませんので、企業毎に考える必要があります。

      さらに、今や当たり前といった感覚になりつつあるコンプライアンス研修やOJT(On-The-Job Training)についても、対象範囲や実施内容を階層別に変えるなど、企業毎に分類・工夫していくことが求められます。

      コンプライアンス研修


      企業が法令や規則を守ることを意味するコンプライアンスは、全社員が注意して取り組むべき課題です。

      コンプライアンスに違反することは、商品やサービスの低下、経済的損失、社会的信用の損失に繋がりかねません。
      コンプライアンス遵守は今後、企業価値を計る物差しとしての役割がより大きくなるでしょう。

      そのため、企業側がある程度社員の自覚や考え方を把握し、軌道修正を行う必要もあると考えられますので、定期的に教育を行うべきと言えます。

      OJT(On-The-Job Training)


      OJTは実際に職場で仕事をさせながら従業員教育を行う方法です。

      OJTは、新人に実際に仕事を担当させながら教育することができるので、経費削減効果を生み出し、さらには早く仕事ができる社員に育てられるというメリットがありますが、そのためにはどうしても新人を指導する人材が必要です。

      企業における閑散期はいつなのかを見極め、この時期なら指導担当者に余裕ができるだろうという判断のもと、実施時期を計画することも大切です。

      4月入社は変えられないというのであれば、事前に本部内・部内・課内にて新人教育の時間を想定して役割分担を行うなど、現場の仕事を任せられる状態にしておいてから、新人のOJTを担当させるといった計画的な準備を立てておくことも、人事担当者に求められる要素です。

      新人研修を短縮し、入社早々実務につかせながら、教育も兼ねて人材を育てていくことができると考えられるこの従業員の教育方法は、今後、さらに増えていくと予想されます。

      まとめ


      人事担当者が社員に対して実施する教育研修に関して知っておくべきことで重要なのは、企業のトップがどのような経営方針を考えているかを事前に知ることです。

      この情報がないと、どのような目的をもって、どんな内容でいつ実施するか、社員の誰を対象にするかなどが定まらず、様々な面で検討しなければならない要素があることから混乱が生じます。さらに、人事担当者が自社にマッチするような的確な教育研修計画の立て方を知っておくことも必要です。


      2018年10月

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